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時間分解蛍光法による高分子のダイナミクス

 高分子鎖の運動は高分子材料の様々なマクロ物性と密接に関係しており、鎖の運動を明らかにすることは高分子材料の設計するための基礎的な知見を与える。高分子の運動性には非常に広い分布を示す。時間的にはナノ・ピコ秒の速い運動から秒・分オーダー以上の広い時間領域にわたり、また空間的にはセグメントレベルから鎖全体の並進運動まで存在し、非常に広い時空間スケールの運動モードが存在している。一つの手法ですべての運動を評価することは不可能であるため、様々な手法を使い分けることで高分子のダイナミクスを評価することが必要となる。我々は、蛍光ラベル法を用いることで高分子の動的特性を研究している。高分子鎖に導入した色素分子の発光を通して高分子の運動を評価するものであり、色素分子の導入位置を工夫することで系中の任意の箇所のみからの情報を選択的に得ることができ、また測定時間スケールもナノ秒から分以上の広いスケールの計測が可能である。以下に研究内容を紹介する。

蛍光偏光解消法によるナノ秒領域の分子運動

 偏光解消法は直線偏光励起された蛍光分子からの蛍光の偏光度から分子の回転運動を評価する手法である。蛍光の時間分解測定を行うことによって、10-10 - 10-7秒の時間スケールの配向自己相関関数を直接的に計測することが可能である。高分子鎖に蛍光色素分子を導入し、その色素分子からの偏光解消信号を検出することで、高分子鎖のダイナミクスを追跡している。希薄溶液中における高分子鎖のミクロブラウン運動をはじめとして、ゲル網目鎖や高分子ブラシのダイナミクスの研究を行っている。

単一分子分光による高分子鎖一本の運動の追跡

 近接場光学顕微鏡や超解像顕微鏡などの最新の光学イメージング法を用いることによって個々の高分子鎖のダイナミクスを直接的に追跡し、高分子のマクロ物性を支配する分子レベルの素過程を実験的に明らかにすることを目指している。一軸延伸やせん断などマクロな変形時およびその後の緩和過程において、高分子鎖の挙動を単一分子レベルで追跡している。